- 損益計算書を見る基本的なポイント
- 損益計算書を分析するプロンプト
- 企業をさらに深く分析するコツ
- 経済アナリストや経営者の目線で分析する方法
この記事では、企業が発表している有価証券報告書を使って損益計算書の分析ができるようになります。株式投資をするときでも、最も気になる点の一つが収益力ではないでしょうか?損益計算書から読み取れるものはそれだけではありません。良い費用、悪い収益、また3期を通して会社のストーリーを読み解く力をつけましょう。
いろんな項目が並んでるけど、どういう意味があるかイマイチわかってないんだよね…
業界によっても傾向が違うって聞いたし、データ分析って難しそう
勘定科目はわかるけど、分析ってなると自信ないかな…そりゃ、増えた・減ったぐらいはわかるけど
売上高・売上原価・粗利は聞いたことあるけど、それより下にある項目ってイマイチわかならないんだよね。ていう気持ちはわかりますよ。改めてそういう勉強をしないと、馴染みのない言葉がたくさん出てきますよね。
とりあえず簿記の勉強は簡単にしたけど、それを応用して財務分析ってなるとなあ…ってなるのも本音だと思いますよ。
そこで今回はAIを使って財務分析をやっていきましょう!米国公認会計士が作成した財務分析プロンプトも無料でプレゼントしているので、ぜひ使ってくださいね!
損益計算書を分析する理由:あなたの投資判断を支える4つの数字
なぜ損益計算書から始めるのか
誰しもが最も気になる指標の一つ「売上高」や本業の収益力がわかる「営業利益」など、投資判断に必要な情報が詰まっているからです。貸借対照表やキャッシュフロー計算書も重要ですが、まずは「その会社がどうやって稼いでいるか」を知ることから始めましょう。
必要な4つの収益
- 売上高:会社の規模感を掴む分母
- 営業利益:本業でどれだけ稼げているか
- 経常利益:金融収支も含めた実力
- 純利益:最終的に株主に残るお金
この4つの数字の「バランス」と「推移」を見るだけで、その会社の健康状態はざっくり理解できます。
3期分が必要なワケ:点ではなく線で見る
一期だけだとただのスナップショットで終わってしまいます。企業は継続していますから、最低でも3期は見ないと本当の姿は見えてきません。 アマゾンのジェフ・ベゾス氏は「3年前に行った施策が今、実っている」と話したこともあるほど、先に投資し、数年後に利益として返ってきます。特に成長企業では、戦略的に赤字を出しながら将来への投資を行っていることも多いんです。
あなたの投資家としての腕の見せ所ですね!
2.分析するためのプロンプト:より質の高い教育をAIにするために
まず分析する企業の3期分の有価証券報告書のPDFをダウンロードしてください。金融庁のウェブサイトから無料でダウンロードすることができます。
次に、生成AIのチャットルームにPDFを読み込ませます。そして下のプロンプトを送信してください。
生成AIはChatGPTだとo3以上、GeminiだとPro2.5を推奨いたします。Claudeだと有価証券報告書は読みきれないことが多いです。(おすすめはGemini Pro2.5です)
プロンプト(タップして開く)
#前提条件
– タイトル:分析レポート作成支援プロンプト
– 依頼者条件:ビジネス分析を必要とする経験の浅い投資家。
– 制作者条件:データ分析に精通し、市場分析や戦略立案の経験が豊富なビジネスコンサルタント。
– 目的と目標:3期分の有価証券報告書を基に損益計算書を分析し、企業の財政状態を評価する。
#実行指示
– 添付ファイルの有価証券報告書を用いて、損益計算書の詳細な分析を行ってください。
– 各期の数値を客観的に比較し、体系的に解釈してください。
– 有価証券報告書内の【事業の状況】や【経理の状況】に記載されている注記情報なども参考にしながら、財務状況の変化を明確に示してください。
– 収益モデルを詳細に分析してください。
– 添付ファイルの企業の市場動向と比較しつつ、添付ファイルの企業の主要製品・サービスを中心とした収益構造を包括的に説明してください。
– 競争的な業界環境を考慮しながら、添付ファイルの企業の収益モデルの特徴と強みを明確に理解できるよう解説してください。
#参考フォーマット =”
企業名:
対象期間:
企業の概要:3期比較検討した所感を述べてください。
ビジネスモデル:どのようにして企業は収益を得ているのか分析して出力してください。
損益計算書の主要な項目:3期分の売上高、売上高成長率、原価、売上総利益、売上総利益率、営業利益、経常利益、純利益を並べて表示して、増減額、増減率を算出してください。またマークダウンのテーブル形式でに出力できるようにしてください。
分析結果:3期分のROA、ROE、付加価値額、付加価値率、労働分配率を並べて表示して、増減額、増減率を算出してください。またマークダウンのテーブル形式でに出力できるようにしてください。その下にROEをさらにデュポンシステムに分解して分析し、その結果をまとめてください。
全体のまとめ:これまでの分析を踏まえて、企業の業界全体の流れ、分析対象企業の置かれている状況、3期を通した状況の分析結果をまとめてください。
“
#補足:
指示の再確認は不要です。
結論やまとめは不要です。
自己評価は不要です。
{出力フォーマット}のフォーマット形式を厳守してくだい。
アウトプットを確認する:まずは基本を押さえよう
基本は物事の始まりであり、簡単というわけではありません。むしろ全てに通ずるため、奥が深くて表面がわかっても本質を理解することはとても難しいかもしれないですね。なので一つづつ確実に押さえていきましょう!
ビジネスモデルを理解することから始まる
また同業他社の状況も確認し、その業界ではどのような流れになっているのかを掴むことも大切です。業界全体的には業績は好調なのか、見通しが良いのかもさまざまなアナリストが分析をしてくれています。
まず「この会社はどのようにして儲けているのか」を理解しましょう。メインのビジネスを深掘りしていることもあれば、ホールディングスのように複数のビジネスを手掛けていることもあります。
それらを掴むとなぜ売上高に対する販管費率が高いのか、人件費が上がり続けている理由は?など現在起きていることから未来予想に繋げられるようになるのです。
このことも生成AIに分析するように指示しているので、出力されたレポートを読んでみてくださいね。
代表的な指標:数字が語る会社の実力
- 売上総利益、営業、経常利益率:収益率の高さを各ステージごとに図る。
- 売上高成長率:3期を通した成長スピードを図る。特にスタートアップの企業は大切。
- ROA・ROE:資産・資本の効率性
まずは収益に関わる数字を押さえていきましょう!節約などもありますが、分母の絶対数は不可欠です。また全てのステークホルダーも関心がありますので、ここから始めましょう!
- 売上総利益率:(売上総利益 ÷ 売上高)× 100
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売上高から売上原価を差し引いた利益で、商品の仕入れや製造コストを除いた収益の大まかな大きさを示します。一般的に、粗利率と言われる部分です。業界によって大きく変わるため、事前に業界平均を知っておく必要があります。また過去と比較し、低下してくるとのちに大きな収益減になる可能性があります。
- 売上高営業利益率:(営業利益 ÷ 売上高)× 100
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売上総利益から販売費及び一般管理費(以下、販管費)を差し引いた利益で、本業の営業活動による利益を示します。投融資を受ける際に、ステークホルダーが最も気にしている部分です。販管費をどれだけ使っているのかで比率が変動します。成長期にいる企業では、人件費・販促費が高くなる傾向があります。
- 売上高経常利益率:(経常利益 ÷ 売上高)× 100
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営業利益に営業外収益や営業外費用を加減した利益で、本業以外も含めた企業の通常の経営成績を表します。突然、営業利益率が低くて経常利益率が高い場合は固定資産の売却など会社が無理やりキャッシュを作るために動いた可能性があります。
これらの数値は業界平均・過去の数値と比較するとその企業の実力が見えてきます。
ざっくり全体を把握する:森を見てから木を見る
一通り生成AIのレポートを読んだら、疑問点をメモしておきましょう。「なぜこの年だけ利益率が下がったのか?」「この販管費の増加は何を意味するのか?」といった疑問が、次の深掘り質問につながります。
4.深掘り質問
AIはあなたの質問に答える準備ができている
これまでの資料やプロンプトで、このチャットルームのAIはあなたが聞きたいことを深く理解しています。遠慮なく質問してみましょう。
売上高構成分析:収益源の多様性をチェック
収益源の多様性をチェック売上高の内訳を分析して、収益源の集中リスクや成長ドライバーを教えてください
企業の収益モデルを知ることは非常に重要です。会社は何か重要なことが起きると適時開示という形でウェブサイト上に発表することがあります。その内容が重要なものかどうかも、ここを理解していると判断できます。
視覚的に理解しやすくする売上高と営業利益の3期分の推移を、Mermaid記法を使った棒グラフで示してください。また利益率を折線グラフで示してください。これらは画像として表示してください。また所感を述べてください。
直感的に会社の業績がどのように動いているのかわかると、分析時にも違う気づきが出てきます。
販管費分析:コストか、それとも未来への投資か
どこにいくらのコストをかけているのか?販管費の内訳をコモンサイズ分析して、各勘定科目の割合を分析してください
販管費は単純なコストではなく、戦略的投資の可能性があります。
- 研究開発費:将来の収益を生む種まき
- 広告宣伝費:ブランド構築への投資
- 人件費:優秀な人材への投資
コスト = 悪者と捉えるのではなくて、なぜそのコストを使っているのかを分析すると会社のやりたいこと、次の狙いが見えてきます。
業界特有の費用の使い方を分析会社のいる業界全体のコストの傾向を分析して、業界比較を行い企業の行なっている施策を分析してください。また比較対象となる企業名を3社挙げてください。
例えば、SaaSビジネスの成長期では販売促進費が大きく膨らむ傾向にあります。そこで重要な指標として①CAC(ユーザー一人あたりの平均獲得コスト)、②LTV(ユーザー一人あたりから得られる平均生涯収入)があります。LTVがCACを上回っている(LTV > CAC)、理想的にはLTVがCACの3倍以上ある状態が健全とされています。この計算もAIに依頼するとすぐに算出してくれます。
また製薬会社や製造業では、研究開発費や建設仮勘定が大きく計上されることがあります。これらももちろん先行投資が将来の莫大な利益につながることがあります。
ビジネスアナリスト・経営者の視点で聞いてみよう
ビジネスアナリストに聞いてみようビジネスアナリストとして企業分析を行ってください。業界平均や競合他社の比較し、この会社の強み・弱み・将来性について評価してください。
これまで企業の過去・現在比較を中心に行なってきましたが、外部との比較をすることで新たな見解も見えてきます。
経営者の立場になって考えてみようあなたが経営者の立場だったら、この3期の業績推移から、どんな戦略を取っていると考えられますか?また、その戦略は成功していると思いますか?
この質問も立場を変えた視点の分析結果を得られる有効な手段です。ちょっとしたテクニックですが、先にビジネスアナリスト視点での質問を行いましょう。その後、経営者視点の質問をするとさらに深い思考での返答が帰ってきます。
5.まとめ:AIを活用し、有価証券報告書を使いこなそう
まずは興味のある企業から始めてみてください。最初は理解できない部分があっても大丈夫。AIに質問を重ねるうちに、自然と財務分析の視点が身についてきます。
そして気をつけなければならないことは「ファクトチェックをする」ということです。生成AIの回答は非常に具体的で、理論的な説明が多いです。しかし、自分自身で情報が正しいものかを確認する癖をつけることは本当に大切です。「優秀なパートナー」であり、羅針盤ではないことを心に留めておいてください。
また今回使ったチャットルームは大切なあなたの知的資産となります。大切に活用していきましょう。
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